キャッチボール1

一通りのアップが終われば、いよいよキャッチボールです。
しかし、キャッチボールと聞けば、基本的な練習で、簡単じゃないかと思われがちですが、
実は本当に初めて野球をする人にとってはボールを投げること、
そして、グローブでボールを捕ることは非常に難しいことになります。

よって、全体練習のキャッチボールに参加するまでには、
ボールを投げる、捕るといった練習を別メニューとして個別で行う場合もあります。

ボールを『投げる』

まず、ボールを投げる動きというのは、
ただボールを持って腕を振ればOK!という訳ではありません。
上半身はどういう方向を向いて足はどのように踏み出し、ボールをどのように握って、
腕や肩はどのように回して、手首や指先をどのように使い、どのタイミングでボールを離すのか?

この体全体の一連の動作が上手に出来なければ、
キャッチボールの基本と言われる、相手の胸に向けてボールを投げるといったことはまず100%出来ません。

投げてもどこにボールが行くのかわからないような子どもがキャッチボールに入っても、
いくら基本練習といえども練習になりません。

よって、本当に初めて野球をやるといった子どもに対しては、
ネットなどに向かって繰り返しボールの投げ方を指導します。

その繰り返しによって、体が『投げる』という動作を覚えてくれます。
この動作がある程度出来るようになれば、キャッチボールに参加しても大丈夫でしょう。

二人一組でキャッチボール

さて、この『投げる』という動作が一通り出来る子ども達に関しては、
二人一組となりキャッチボールを行います。

近い距離でのキャッチボール

まずは近い距離から始めます。

いきなり遠くに離れて力を入れて投げたりすれば、
当然肩や肘を痛めたりする要因となりますので、
まずは近い距離から肩や肘を温めながら始めます。

この時も投げるポイントは相手の胸を目がけて投げます。
この相手の胸に投げるというのは、何故胸なのか?

それは、試合中に行われる動作にあります。
守備をしている場合、ボールは捕って終わりというプレーばかりではありません。
捕ったら次のプレーに向けて、投げる動作が入ってくる場合もあります。
ボールを捕った人が、次にどこかに投げる場合、一番動作に入りやすい場所が胸なのです。

もちろん、野球では走者にタッチをしなければならないプレーなどもあり、
そういった場合は胸では無く、タッチのしやすい膝辺りを目がけて投げるのが基本となります。

投げるポイントひとつとっても、そのプレーに密接に関わっている・・・野球って難しいですね。

『遠投』のキャッチボール

短い距離から段々と間隔を広げていき、塁間少し超えるぐらいまで投げる距離を広げます。
この距離でのキャッチボールをいわゆる『遠投』といいます。

できるだけ遠くに投げる練習で、肩をしっかりと鍛えます。

肩が強い、弱いとよく言いますが、
この遠投でしっかり遠くに投げる練習をすることで、
元々の肩が弱くても、強くすることが可能と言われています。

肩の弱い選手は、守るボジションに限りが出てしまうこともありますから、
遠くに投げれるということは、プレイヤーとしての幅を広げることにも繋がります。

この遠投が終わると、塁間まで距離を縮め、再びキャッチボールをするのですが、
この際しっかりと相手の胸に投げること、そして捕ったらすぐに投げるという動作の反復練習をします。

少年野球においてこの塁間をしっかりと投げることが出来るというのは、
ひとつの目標といっても良いと思います。

低学年ではなかなか届かなかったり、届いても山なりのボールになったりしてしまいますが、
高学年になればある程度この塁間で低い弾道のボールを投げることが出来るようになります。

この塁間のキャッチボールの精度が、
そのチームの守備力のひとつになるとも言われている、とても大切な練習となります。

何故そんなに大切なのかと言えば、
ボールを捕ってもいつまでもモタモタして投げるのが遅くなれば、
走者をセーフにしてまいますし、山なりのボールではランナーに進塁を許してしまったりします。

また、相手が捕れないようなところへ投げてしまえば、
当然ながらアウトにすることは出来ません。

相手の捕れるところに、より早く、速い球を投げることが、
守備においてアウトにする重要な動作となってくるのです。

さて、『投げる』ことの大切さをここまで記してきましたが、
次回はキャッチボールのもうひとつの基本『捕る』ことについてです。